新規の血管発芽シグナルを標的とした癌治療法の開発

木戸屋浩康
(大阪大学 微生物病研究所 助教)

2016年3月31日木曜日

2015年度の研究成果報告

この一週間で下半期の研究活動を記事にしましたが、最後に今年度の研究成果について報告したいと思います。


助成を頂いている研究の内容は「新規の血管発芽シグナルを標的とした癌治療法の開発」ということで、血管形成を阻害する新しい抗がん剤の開発を目標として研究を進めてきました。

がん組織が増大するためには、血管からの酸素や栄養分の供給が必要なため、がん組織の血管を減らすことで供給路を断つ「兵糧攻め」による治療法が提案されてきました。
この概念に基づき、血管新生阻害剤の開発が進められてきましたが、その効果は当初の期待には遙かに及ばないという残念な結果になっています。
しかしながら、がん組織に血管が必須であることは間違いないため、何らかの方法で治療効果が減弱していると考えられます。
私たちは、がん組織でどのように血管が出来ていくかを経時的に観察することによって、その理由を解明したいと考えています。


これまでの研究によって、生きた状態でがん組織の血管を観察できる遺伝子組換えマウスの作成に成功しました。
血管が赤色に光るマウスです(耳の血管)
このマウスを用いて、血管新生阻害剤を投与した場合にどのような変化が起きるか検討を進めており、これまでに考えられていなかった特殊な現象が起きている事を発見しました。
この現象を抑えることが出来れば、効果的ながん治療薬の開発に繋がるのではと考えています。
がんの血管の立体図です
研究途中のため、まだ詳細な記事を書けませんが、成果がまとまりましたらブログで紹介したいと思っています。


マウスに処置をしている様子です。
画期的な癌の治療法を開発するため日夜研究に励んでおりますので、引き続きご支援を頂きますよう、よろしくお願い致します。


日本薬理学会での講演 (2016年3月11日)

新学術領域「血管と神経」班で知り合った大阪大学医学系研究科の村松里衣子先生の紹介で、3月11日に横浜で開催された日本薬理学会の教育セミナーで講演しました。


「若手研究者のキャリアパス−7つのエピソード−」と題されたセミナーは、「これまでの研究やキャリア形成、その過程で経験した苦労や喜びを若手研究者へ伝える」という内容で、研究活動の裏側を紹介しました。
セミナーの題にもあるように7人の研究者が講演したのですが、各人が異なる背景(企業の研究者や、政府の機関、女性研究者など)で、普段は知り得ない話が聞ける面白いセミナーでした。

オーガナイザーの北里大学の中原努先生、座長の村松先生、宝田先生、ありがとうございました。

講演者の皆様、中原先生とセミナー後に記念撮影

2016年3月30日水曜日

第二回血管生物若手研究会の開催(2016年3月4~5日)

先日のブログにも書きましたが、私は有志と共に血管生物若手研究会を2015年に立ち上げ、今年(2016年)は3月4~5日に仙台にて第二回目の会を行いました。
今回も全国から多数の若手研究者に参加して頂き、2日間にわたってレベルの高い発表と議論が交わされました。

研究会を立ち上げた詳細な経緯は、ちょうど来月(4月20日)に発行の実験医学5月号に記事が掲載されるのですが、簡単に説明すると、前回のブログに書いた班会議のような会を自分たちで開催したいという気持ちがきっかけでした。

来年も春頃に第三回目を開催する予定で計画を進めています。
血管の研究をしている方はもちろん、今後やってみたい方や興味がある方も、ぜひ参加をご検討頂ければと思います。

2016年3月29日火曜日

新学術領域「血管と神経」成果公開シンポジウム(と京都マラソン) 2016年2月22日

私は2011年からの4年間、新学術領域研究という文部科学省が行っている事業の血管-神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構」班に公募班員として参加していました。
新学術領域研究とは「新たな研究領域を設定して異分野連携や共同研究、人材育成等を図る大規模なグループ研究をサポート」する (JSPSのHPから)そうです。
「血管-神経」班では、これまであまり接点の無かった血管研究者と神経研究者が協働して新しい研究を進めていました。

毎年一度、全員が参加する班会議を行い、研究成果の報告やそれに対する議論を行うのですが、高いレベルの科学的な議論が要求され、終わった後は疲れ果ててしまいます。
その分得るものも多く、私も研究内容やプレゼンテーションの作法など多くをこの班から学び、研究者として大きく成長できたと思います。

今回はその最終報告として、公開シンポジウムが開催されました。
私は、4年間の活動の成果を発表させて頂きましたが、毎年の班会議で鍛え上げられた甲斐があって、少しは良い発表ができたのではと自分では思っています。
領域代表である京都大学の高橋淑子先生、そして班員に皆様ありがとうございました。



実はその前日には初のフルマラソンとして京都マラソンを完走しており、体は満身創痍で歩くことすらままならないままならない状態での発表でした。
iPS細胞で有名な山中先生も参加されていましたが、タイムは遙かに及ばず、研究もマラソンもまだまだです。

2016年3月28日月曜日

研究所での業績発表会 (2016年1月29日)

私が所属している大阪大学の微生物病研究所では、毎年1月末に研究業績発表会というイベントを開催しています。
この発表会では、研究所の各研究室から代表者が参加して、皆の前でポスター発表・口頭発表します。
会の最後には、教員及び研究員が投票を行って優秀者を選出することになっており、各研究室が研究レベルを競い合う「競技会」のような場にもなっています。

今年は1月29日に開催され、私が研究室を代表して、静脈血管の発生機構に関する研究について発表しました。
各発表者は研究室を代表しているだけあって、プレゼンテーションの質も高く、気合いも入っています。
私も大きなプレッシャーの中で発表しましたが、幸運にも最優秀学術賞を頂くことができました。
記事・写真はこちら


研究者は、研究室にこもって実験するか書類を書いたり、学会へ出張に行ったりという地味な生活を送っていますが、年に一度の業績発表会はお祭りのような感じで気分転換できる楽しい行事です。
微生物病研究所には、普段は話せないような著名な教授が多数在籍していますが、自分の研究内容について意見を貰える絶好の機会でもあります。

このような刺激が、私たちを科学研究へと魅了しているのでしょうか。

2016年3月26日土曜日

日本血管生物医学会での成果発表(2015年12月10~12日)

分子生物学会から1週間後、同じ神戸のポートアイランドにて開催された日本血管生物医学会に参加しました。

この学会は、基礎・臨床を含め、血管に関する研究を行っている研究者が集まる、私が最も重要としている学会で毎年参加しています。
参加人数は、先日の分子生物学会とは桁違いに少ないものの、参加者同士が気軽に触れあうことができ、家族的とも言える良い雰囲気をもつ学会です。

今回は一般演題での講演の機会を頂き、短い時間でしたが自分の研究内容を発表しました。
発表の後に、いろいろ方から声を掛けて頂き、そして気軽に意見交換できるのも、この学会の良いところです。
全国の血管研究者達と交流を暖め、研究についてゆったりと語り会うのは毎年の楽しみでもあります。

発表後に一休み
学会会場の写真が無く、その後の写真ばかりですみません。

2016年3月25日金曜日

分子生物学会(BMB2015)での成果発表 (2015年12月1~4日)

神戸のポートアイランドで12月1日~4日に開催された分子生物学会(BMB2015)に参加しました。
今年は分子生物学会と生化学会の合同会議ということで、国内の生物学系の学術会議では最大規模になります。


今回は、「The life sciences elucidated by the analysis of angio /lymphangiogenesis (血管リンパ管の新生とリモデリングの生命科学)」というシンポジウムにて講演の機会を頂きました。
血管・リンパ管研究分野の第一線で活躍されている若手・中堅の国内外の講演者に並んで、発表する機会を頂けたことは素晴らしい経験になりました。
座長の宮園先生には改めまして感謝申し上げます。
最も大きな会場での慣れない英語での発表、お世話になっている先生が見に来てくれたということもあって、大変なプレッシャーでしたが、なんとか成し遂げました。
シンポジウム後の打ち上げにて


今回は研究内容の発表に加え、京都大学の飯田先生がオーガナイズするフォーラム「経験もお金も人脈も無い若手が自分の妄想を企画化するにはどうしたらいいのだろうか?」にて講演しました。
このフォーラムは、若手研究者がどのようにして企画(研究会)を立ち上げるかを、経験を交えて話し合うという場でした。
私は運営に携わっている「血管生物若手研究会」について、発表させて頂きました。
熱い議論は懇親会まで続き、多くの若手研究者と知り合い、意見を交換する良い機会になりました。(飯田先生、ありがとう!)
講演者の皆さんと